アメリカ市民権取得から
読み解く「アメリカ多民族文化」とは

アメリカに留学すると、さまざまな人種の人と出会う機会が増えると思います。多民族国家であるアメリカならではの体験であり、多くの異文化を知ることが出来ます。一方で、最近アメリカでは移民政策が何かと話題になることが増えてきました。日本にいるとあまり移民対策に対して意識する機会は少ないかもしれませんが、多民族が共存するアメリカでは重要な問題といえます。

今回は、アメリカの移民文化を理解頂くため、多民族国家としてアメリカが移民を受け入れ、アメリカ人として滞在する権利を与える際にどのようなプロセスを行っているのかを紹介したいと思います。どのような人がアメリカ市民権を得ているかを知ることで、よりアメリカ文化が理解できるかもしれません。

 

アメリカに住む方法

アメリカ人以外の人が、アメリカに住む方法としては、大きく2つあります。

1つは、日本人が留学生としてアメリカに住むような、外国人として一時的にアメリカに滞在することです。もう1つはアメリカ市民になり、永続的にアメリカで生活するということです。この2つの方法では制度的に大きく異なる点が1つあります。それは、アメリカ市民になるためには「市民権」を取得する必要がある、ということです。移民対策を行うアメリカにとって市民権は簡単に付与するものではなく、一定基準をクリアし、アメリカについての基礎知識があるか、生活する上で問題がないかという判断をした上で初めて市民権を与えています。

 

市民権を申請する際に必要な資格

まず、アメリカ市民権が申請出来る人は、主に下記7つの条件に当てはまることが必須となります。

①18歳以上である

②英語の読み書きに問題がなく、会話もスムーズに理解する能力がある

③アメリカ合衆国の歴史と政府に関する正しい知識を持ち合わせていることが証明できる

④1年のうち最低6カ月間、永住権保持者として実質的にアメリカに滞在している

⑤市民権保有者と結婚した場合は永住権取得後3年以上、結婚以外で永住権取得した場合は5年以上の間、継続的にアメリカに住んでいる

⑥アメリカにおける所得税を申告し、滞りなく納税している

⑦インタビュー時に18~26歳の間に義務兵役に登録していた証明がある(18~31歳までに永住権を取得した男性の場合)

この条件をクリアして初めて、市民権申請に進むことが出来ます。

 

アメリカ市民権取得のプロセス

上記資格をクリアした人は、市民権申請に進みます。アメリカ市民権申請手続きは大きく3つのステップがあります。

【ステップ①】

市民権取得申請書に必要事項を記入。パスポートやグリーンカードのコピー、写真、申請料を添えて移民局へ送付。

【ステップ②】

申請後指定された日時に移民局に行き、顔写真撮影と指紋採取が行われます。

【ステップ③】

その後、筆記テストとインタビューが行われます。英語の読み書きテストでは基本的な読み書きスキルがあるか判断されます。インタビューではアメリカ歴史や政治、市民権に関する基礎知識を確認するテストが行われます。
このように、書類のみの審査ではなく、実際に今後アメリカで生きていく上で必要最低限コミュニケーションが出来るか、その国の事を最低限理解しているかが判断されます。

 

市民権取得申請での質問(例)

では、アメリカに対する知識があるか把握するため、市民権取得時のインタビューでは一体どんなことが実際に質問されるのでしょうか。主には、アメリカ国民としての基礎知識に基づいた内容になります。基礎知識の内容としては、アメリカの歴史や政治の構成、主な大統領名等が含まれます。

【代表的な質問】

Q1: Who signs bills to become laws?                                                               (法案決定のサインする人は誰か?)
Q2: Who vetoes bills?                                                                                              (法案を拒否できる人は誰か?)

どちらの質問の場合も、「The President(大統領)」が正解となります。アメリカ合衆国を統率する大統領の位置付けを把握しているかも基礎知識に含まれているのです。

他にもアメリカで生活をする上で重要な質問もあります。

Q4: How old do citizens have to be to vote for President?                     (大統領選挙に投票出来る年齢は?)
→ 18歳以上
Q3: When is the last day you can send in federal income tax forms?(所得税申告期限は?)
→ 4月15日

その他興味のある方は、下記から過去問を見ていただくことが出来ます。英語の勉強やアメリカ文化理解に役立つかもしれません。

英語のテスト教材『USCIS: Study Materials for the English Test』

歴史と政治の教材『USCIS: Study Materials for the Civics Test』

このように、市民権を付与するということが如何に重要な制度で、アメリカに対する知識を求められることを分かって頂けたかと思います。

 

まとめ

今回は、アメリカ市民権取得ステップを通じて、アメリカ移民政策の一端をのぞいてみました。移民政策は多民族国家であるアメリカ文化を理解するうえで重要な切り口の一つだと思いますので、興味のある方はこれをきっかけに是非その他の関連情報を調べてみてください。

 

参考リンク:

U.S.Citizenship and Immigration Services ~ Application for Naturalization
mAmerica ~ 日本人がアメリカ市民権を取得するメリットとは?永住権と何が違うのかを詳しく説明します!
JASSI ~ 市民権の申請
Lighthouseロサンゼルス ~ アメリカ市民権の申請・取得の流れと方法
ハワイに住むnet ~ アメリカの市民権を取得するための手続きと日本国籍離脱について


コラムニスト・インフォ
S.K
GPI US プログラム・コーディネーター

高校まで日本で過ごし、カリフォルニア州のコミュニティー・カレッジから大学に編入/卒業。
自分が留学で得た素晴らしい経験を1人でも多くの日本の生徒に伝えたいという思いでGPI USに入社しました。
   

「伝えられた事は忘れる、教えられた事は覚えている、関わった事は学びとなる。」- ベンジャミン・フランクリン