アメリカのサマータイムの概要は?
留学生が注意するポイントも紹介

日本ではあまり馴染みがありませんが、日中の時間を有効活用することを目的に「サマータイム」を導入している国が多く存在します(アメリカもそうした国の一つです)。サマータイムは生活に深く関わるものなので、アメリカへの留学を検討している方であれば、サマータイムがどのようなものなのか事前に把握しておいて損はないでしょう。そこで、今回はサマータイムが生まれた背景、日本におけるサマータイムへの取り組み、サマータイムを導入している国に行く際の注意点などについてご紹介します。

 

サマータイムが生まれた背景

サマータイムとは、日の昇っている明るい時間を有効活用する目的で標準時間をずらすことです。具体的には夏を中心とする時期に1日の時間を1時間前倒しすることを指します。サマータイムは18世紀にベンジャミン・フランクリンによって提唱されたと言われています。ただこれには諸説あり、なかには19世紀に提唱されたとする説もあります。いずれの説にしても、明るい時間を有効活用する、つまり省エネを目的としている点は変わりありません。

世界で初めてサマータイムが導入されたのは1916年で、イギリスとドイツにおいてだと言われています。実はサマータイムの歴史はまだ100年ほどしかないのです。この時のサマータイムは、ドイツでは4月30日から10月1日まで、イギリスでは5月21日から10月1日まで実施されました。

現在サマータイムを導入しているアメリカでは、ドイツ・イギリスから遅れること2年の1918年に初めてサマータイムを導入しています。その後、第二次世界大戦中の1942年から1945年9月までは1年を通してサマータイムを導入、戦後は現在のような夏を中心とする時期のみのサマータイムという形に落ち着いています。

サマータイムの期間は標準時と比べて1日の時間が1時間前倒しされることになります。アメリカの場合、3月の第2日曜日から始まり11月の第1日曜日まで続きます。11月の第1日曜日を境に再び時間は1時間戻されます。アメリカへの留学を検討される方はその点をしっかりと覚えておきましょう。

 

日本におけるサマータイム

欧米の多くの国で採用されているサマータイムですが、2018年には日本でも導入に向けた動きが見られました。これは、2020年夏季に行われる予定の東京オリンピック開催期間の暑さ対策を目的としたものでした。しかし、サマータイムはただ時間をずらすだけではなく、時間をずらすことによって生じる様々なシステムの変更が必要になります。また、1時間とはいっても時間のずれは多くの人の生活に大きな影響を与えてしまいます。そういった背景もあって、結局導入は断念されました。日本におけるサマータイム導入の議論は過去にも何度か行われたことがあります。また、戦後アメリカの統治下にあった1948年から1951年までは実際にサマータイムが導入されていました。当時は、明るい時間に活動できる時間を増やすことによる節電効果などが謳われていましたが、仕事への影響や健康被害などに対する懸念が各方面から起こり、最終的に廃止されました。このような状況から鑑みても、日本にサマータイムを導入するのはかなりハードルが高いようです。

 

サマータイムに対するアメリカ人の評判

現在もサマータイムが導入されているアメリカですが、実はアメリカ国内で反対意見も見られます。まず、近年の研究ではサマータイム中の脳卒中の発症リスクはサマータイム以外の時期に比べて25%高くなったという結果が明らかにされています。また、心臓発作などのリスクが高まることも示唆されています。さらに、サマータイムによって睡眠効率が下がっているというフィンランドの研究もあります。そういった背景もあって、実際にアメリカの州議会ではサマータイム実施に関して再検討しようとする動きなども見られます。またサマータイムを経験している人から、時間が変わる日は混乱なども少なくないといった声も挙がっています。このように、アメリカでもサマータイムに関しては時間の有効活用というメリットがあるという意見もある一方で、不便な側面や悪影響などを指摘する意見も少なくないようです。

 

サマータイム時の注意点

さまざまな議論があることは事実ですが、現状ではアメリカはサマータイムが導入されています。そこで、最後にサマータイムを経験するうえで注意したいポイントについて紹介します。まず、基本的なことですが1時間ずれることによって学校の始業時間も変わります。「時計をずらし忘れて遅刻してしまった」といった事態に陥らないようにしなければいけません。また、最初のうちは体が慣れない可能性もあるので、時間の切り替えが近くなってきたら就寝時間に気をつけるようにしましょう。一方でアメリカ国内でもアリゾナ州の一部とハワイ州のように、州によってはサマータイムが導入されていないケースもあるので、留学先の州がサマータイムを導入しているかどうかを事前に確認することも重要です。

 

まとめ

今回は、サマータイムの歴史から実際の評判、サマータイム実施地域における注意点などについて紹介してきました。1時間といっても時間がずれる影響は決して小さくありません。まして日本には馴染みのない制度なので、アメリカへ留学する際はサマータイムによって時間が切り替わるタイミングをしっかりと押さえておきましょう。

 

参照記事:
Discovery 戦争から始まったサマータイムの歴史と廃止に向けたEUの動き
サマータイム制度に関する特別委員会 サマータイム -健康に与える影響-
Yahoo! Japanニュース サマータイム議論の論点──70年代以降5度目の提案は実現するのか?
日本経済新聞 五輪サマータイム断念 自民、システム改修困難
livedoor 米国でサマータイム廃止議論 健康への害や交通事故増加を指摘する声も
マイナビニュース サマータイム制度は、良い制度だと思いますか? – 在日外国人に聞いた
トラベルコ サマータイムってどういう意味なの?何か注意は必要? – トラベル QUESTION!【トラベルコ】
Time-J.net 世界時計-世界の時間と時差 サマータイムについて


コラムニスト・インフォ
S.K
GPI US プログラム・コーディネーター

  
高校まで日本で過ごし、カリフォルニア州のコミュニティー・カレッジから大学に編入/卒業。 
自分が留学で得た素晴らしい経験を1人でも多くの日本の生徒に伝えたいという思いでGPI USに入社しました。

   

「伝えられた事は忘れる、教えられた事は覚えている、関わった事は学びとなる。」- ベンジャミン・フランクリン