自分の“Passion”を知ることで、人生の楽しみ方を知る。
私が考えるリベラル・アーツの素晴らしさ

広範囲にわたるリベラル・アーツの意味

昨今、日本でもその必要性と重要性が取り上げられているリベラル・アーツ。Googleで検索すると、「教養学習」や「人が持つ必要がある技芸(知識・学問)の基本と見なされた自由七科」と広範囲な意味合いが出てきます。また、リベラル・アーツ・カレッジに関しては「専攻を3年時まで決めなくてよい」「少人数クラス」「クリティカル・シンキングを鍛える」「幅広い分野の授業を取り、自分が本当に興味がある分野を見つける」といった内容で、これらはすべてリベラル・アーツの正しい説明だと思います。
 
このブログでは、リベラル・アーツという言葉の意味や定義はさておき、私なりに考えたリベラル・アーツの意義についてご説明したいと思います。

  

思わず鳥肌が立った!リベラル・アーツの本質をついた言葉とは

昨年の夏に、マサチューセッツ州のリベラル・アーツ・カレッジとして知られるボストン・カレッジを訪問した際に、入試を担当するアドミッション・オフィスのディレクターのジョン・マホーニー氏の話を聞く機会がありました。氏のリベラル・アーツの定義が秀逸だったのでご紹介したいと思います。彼は2つのポイントでリベラル・アーツを表現していました。

(1)人間は1日の中で仕事に8時間、睡眠に8時間を使う。残りの8時間をどう使うかが人間の深みとなる。その8時間の使い方を身につけるのが、リベラル・アーツである。

この言葉を聞いたとき、リベラル・アーツの本質の部分が見えた気がして、鳥肌が立つような感覚がありました。この考えを自分なりに消化した結果、「人生の楽しみ方を見つけることがリベラル・アーツである」という考えに行きついたのです。マホーニー氏の語った「人間の深み」とは教養だと思います。しかも、広く浅くよりも、深く追求する部分でしょう。深く追求するには、好きなこと、つまり自分のパッション(夢中になること)でないと難しい。けれど、自分のパッションを見つけることは簡単なことではなく、いろいろなことを試して見つけ出していくしか方法がないと思います。ですから、いろいろな分野に触れて自分のパッションを見つけることこそが、リベラル・アーツの意義だと言えるのではないでしょうか。つまり、パッションを知ることは、自分の人生の楽しみ方を知ること。その観点から言えば、リベラル・アーツは、自分なりの人生の楽しみ方を見つける方法だと思うのです。

(2)現在存在する仕事の半分が、今後10~20年でなくなるという予想がある。そのような予想不可能な未来に対応するために、幅広い教養を身につけておく必要がある。そのために有効な教育こそがリベラル・アーツである。

皆さんもご存知だと思いますが、オックスフォード大学のマイケル・オズボーン准教授とカール・ベネディクト・フライ研究員が、2013年に発表した論文「雇用の未来*」で、現在アメリカに存在する仕事の47%が将来なくなる可能性が高いと述べ、大きな話題になりました。(2)に関しては、その発表に言及していると思われます。

  

リベラル・アーツで引き出しの数を増やす

もしあなたが、過去に前例がなく、予想していなかった難問に立ち向かわなければならないとき、それを解決するにはクリエイティビティーが必要になります。以前投稿したブログ記事「あの大ヒット作に学ぶ!『もしドラ』『もしイノ』とグローバル人材 <前編>」https://gpius.net/ja/2018/03/global-human-resources-1/の中で、「クリエイティビティーには、ゼロから全く新しいものを作り出すことと、既存のアイデアをつなぎ合わせて新しいものを作るという考え方がある」と書きましたが、既存のアイデアをつなぎ合わせるには、引き出しの数が多ければ多いほど役に立ちます。その引き出しの数を増やすためにも、リベラル・アーツは非常に有効だと言えるでしょう。

参考文献

* The Future of Employment: How Susceptible Are Jobs to Computerisation?
Carl Benedikt Frey and Michael A. Osborne  
September 17, 2013
www.oxfordmartin.ox.ac.uk/downloads/academic/The_Future_of_Employment.pdf


コラムニスト・インフォ
倉橋 力 (くらはし ちから)
GPI US CEO

日本生まれの日本育ち。日本の大学から、南カリフォルニアにある4年制リベラル・アーツ・カレッジ、ピッツァー・カレッジに編入。卒業後、ロサンゼルスのメディア、音楽関連企業での勤務、ペッパーダイン大学院でのMBA(経営学修士)取得を経て、GPI USの設立メンバーとして業務に従事。ロサンゼルスのプログレッシブ・スクール(中学・高校)、ツリー・アカデミー理事。趣味はレコード収集とボルダリング。

   

「伝えられた事は忘れる、教えられた事は覚えている、関わった事は学びとなる。」- ベンジャミン・フランクリン