「もしドラ」、「もしイノ」とグローバル人材 <後編>

グローバル人材を考える上で重要なスキルとは?

前回から、「もしドラ」「もしイノ」になぞらえて、 2016年1月に世界経済フォーラムが発表した「2020年に必要なスキルのランキング1、2」で取り上げられたグローバル人材に必要とされる4つのスキルをご紹介しています。第4位は「人材マネジメント力(People Management)」、第3位は「クリエイティビティー(Creativity)」でした。それでは気になる上位2つのスキルを見てみましょう。

第2位:クリティカル・シンキング (Critical Thinking)

クリティカル・シンキングは、「批判的思考」と日本語では訳されていますが、人によってさまざまな表現と意味合いがあります。私が個人的にしっくりきている表現は、「熟慮の上での論理的根拠に基づいた 判断。単純に与えられた情報を鵜呑みにするのではなく、疑問を持つ考え方」という表現です。

特に「単純に与えられた情報を鵜呑みにするのではなく、疑問を持つ考え方」は日本の学校教育の中で教えられることは少ないように感じます。「もしドラ」「もしイノ」の内容から考えると「甲子園に出場するなんて無理に決まっている」または「野球の基本はこうである」という与えられた情報を鵜呑みにせず、本当にそうなのか?もっと良い方法があるのでは?という疑問を持つことは、クリティカル・シンキングの実践と言えます。

第1位:複雑な問題解決能力 (Complex Problem Solving)

栄えある第1位は、「複雑な問題解決能力」です。“問題解決能力”の前に“複雑な”という形容詞が付いていますが、これが意味することはAIなどのテクノロジーで解決できない問題ということです。「もしドラ」、「もしイノ」では、主人公がいろいろな問題に直面し、それをドラッカーのアイデアをヒントに解決策を考え、実行していきます。問題解決をするには、まず問題を認識することが必要です。それにはクリティカル・シンキングを使い、自分が置かれた環境の中に潜んでいる問題は何かを主体的に考える必要があります。そして解決方法のオプションを考え、ベストと思える解決方法を実行するわけです。そのため、クリティカル・シンキングだけでなく、決断力と実行力が問題解決能力には含まれると言えると思います。

「もしイノ」の第3章「夢は野球部の民営化に取り組んだ」で、野球部のマネージャーチームが継続的な甲子園出場を目標と設定し、目標を達成する上で解決しなければならない3つの課題を挙げました。そしてそれらの課題をクリエイティブな方法で解決していったのです。

グローバル人材の資質+知識=人生に幅広い革新を

2回にわたって「もしドラ」と「もしイノ」から、グローバルな人材に必要な重要なスキルを読み解いてみました。ちなみに、私が2020年に必要なスキルのランキングを考えるとしたら、第1位は、断然「クリティカル・シンキング」です。というのも、前述のように、クリティカル・シンキングができてこそ、問題解決能力やクリエイティビティー、人材マネジメント能力が生かさせると思うからです。

「もしドラ」、「もしイノ」を読んで、「そんな簡単にうまくいくわけがない」という冷めた目でみることは簡単ですが、その考え自体も、クリティカルに考えてもらいたいと思います。自分に与えられた環境の中で、「もしドラ」、「もしイノ」の主人公のように、主体的に考え、自分のアイデアをアクションに移せる人材こそが、グローバル化が進み、テクノロジーの進歩によって日々変わる世界で求められる人材だと言えると思います。さらに言えば「もしドラ」、「もしイノ」は、グローバル人材としての資質に知識が加わることで、人生にイノベーションが起ると語っているように感じます

参考文献

1. The 10 skills you need to thrive in the Fourth Industrial Revolution

2. 世界経済フォーラムとは?|2020年に必要なビジネススキルトップ10

3. What is Critical Thinking? – Definition, Skills & Meaning


コラムニスト・インフォ
倉橋 力 (くらはし ちから)
GPI US CEO

日本生まれの日本育ち。日本の大学から、南カリフォルニアにある4年制リベラル・アーツ・カレッジ、ピッツァー・カレッジに編入。卒業後、ロサンゼルスのメディア、音楽関連企業での勤務、ペッパーダイン大学院でのMBA(経営学修士)取得を経て、GPI USの設立メンバーとして業務に従事。ロサンゼルスのプログレッシブ・スクール(中学・高校)、ツリー・アカデミー理事。趣味はレコード収集とボルダリング。

   

「伝えられた事は忘れる、教えられた事は覚えている、関わった事は学びとなる。」- ベンジャミン・フランクリン